道端挽歌/北井戸 あや子
 
よもや拒絶されるなど
考えることも出来ない輩のために

(許せなど言う手立てはない)
(そして当然、許さなくていい)

その義務を拒み、また、拒むという義務を全うし

そのための言葉が
まるで足らない
嘲笑ってくれ
舌を忘れたあなたを気がふれそうなほど理解しながらも
願ってしまうわたしを
おなじように
拒絶の対象だと
寸分の狂いもなく

生き残りの言葉に事後を、酔い痴れまたはよがりながら、
事後を、だ
身勝手に語らせるなど
許されないことだということを
そして言葉など、傲慢にすぎないということを

いつの日も
死を全うしたものを愛したがる
それを、あなたは拒んでいい
(それは至極、当然のことだが)
(常識の顔をしながら押し付けられるものは)
(いつの日も言葉であって)
足りないままで
余って仕方がない

あなたという事象を
ひとつ、提出する
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