海辺にて/zitensha
め
ぼくらはたった一つの悲惨を手に入れるため
国道から海を守る者
トンビのように空高く舞い上がる者
あぁ、あなたの静かな骨よ!
ぼくのやさしい恋人も
秋の透明な詩の世界も犠牲にして
震えるような雨の雫が欲しいばかりに
ぼくはこうして歩いている
ただ一つの言葉もいらない
ぼくはあなたの骨に触れていたいだけ
ただ一つのキスもいらない
ぼくはあなたの悲惨に触れていたいだけ
たった一つ、言葉が落ちるだけでもぼくは恐怖におののく
たった一つ、言葉が落ちるだけであなたの静かな骨はバラバラに崩れる
言葉はそのとき国道
一本の国道
A点からB点まで一直線に伸びる国道
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