いのちさめる/ただのみきや
 
ろう
だが飼うのは最後の手段
こんなことしていたらきりがない
小学生じゃあるまいし
ストーブの近くに置き過ぎてはだめだ
暑過ぎても良くないだろう
いのちは熱を持っている
頬に降りかかる雪の白さ
天の巧の結晶も
瞬く間に透き通り雫に生まれ変わる
冷たいよ
寒いよ
ひりひり感じながら
一かけらの熾火を包んでいるのだ
――おいおいオマエ書く気かよ
やめておきな
キモチワルイ
やさしさとか繊細さとか
アピールしたいのかね
恰好のネタを見つけたって訳か
哀れな鳥の物語
書くためのネタに過ぎないのかよ――
計画は実行される
事務所で鍵を取り
車のドアを開ける雪だ
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