優しさ/はるな
 


まばらに降ってくる秒針に刺さりながら
死んでいくということをわかりそうになる
溶けた絵具の優しさよ、
錆びたレールの優しさよ、
朝、ななめに射す光のなかで
じくじくと枯れていく草たちの優しさよ
届く
というその時に崩れていく夢の優しさよ
柔らかい針になって縫い取られていく心臓の
まばらに降り注ぐ秒針のあいだで


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