お気に入りの一編/ただのみきや
 
ない
鱗が花びらみたいに散って
散りながら燃えて 
燃え尽きて
焦がしはしなかった
誰の土地も
内側に流す涙のように


だけど知ってしまえば哀しい玩具
手垢で汚れて往くだけの
古ぼけたお人形
それを傍らに抱いていつまでも
何度でもごっこ遊びに夢中になれるなら


――Imagination! 
ようこそ我が家へ


だが純粋さもいつしか所作を身に着ける
節回しも朗々と――





           《お気に入りの一編:2017年1月25日》









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