夜毎の蝶/石瀬琳々
 
誰も知らない そんな夜、


少女のぽっちり開いたくちから一羽の蝶が
それはすみれいろの 夢見るひとのうすい涙のような
蝶が飛んでいった 音もなく


(恍惚めいた ひみつの儀式)


少女はそんなふうに夜毎に蝶を吐き出した 
目覚めることのない眠りに包まれて 
朝も昼もあどけない瞳を閉じたまま


(まるであえかな人形のよう です)


蝶は窓の向こうで燃え上がり夜明けとなった
羽根の向こうに知らないくにがある
行きたくて
指をのばしてつかまえたくて
そこですべて燃えてしまう前に


蝶は花のように燃え上がり夜明けとなった
たくさんの色彩が奏
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