罅/本田憲嵩
 



赤トンボたちが
飛行機のルーツのように飛行している
一日ごとに冷たくなる風が
透明に流れている青空の清れつさと
黄いろい木々の退廃を同時に包含している
秋の午後
パズルのピースのようにばらばらにちぎれた
みじかい溜め息と秘めた言葉の切れはしが
そのままに流されてゆく
うろこ雲がほそく連なっている
ぽろぽろと剥がれ落ちそうに
なりながら
やがて尾花のように垂れ落ちてきて
あからさまな諦めとなって
そうして、また、
ふたたびに円環する



この街の橋から見える海は
とても青く澄んでいて
この街の橋から見えるあかい夕映えはどうやら
世界でも三
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