鮟鱇の独白/……とある蛙
座敷の鍋の中から窓越しに雲が見える。雲に隠れた月がぼんやりと
少し前の地震で己が実を揺すられ、少し味が出汁に溶け出したかもしれない。
食欲満々の座敷の客たちは鍋の火加減を気にしている。
解体前の姿を見せてやりたいものだが、店の軒先に飾られているもののさほど目立たない。
海底に潜んで食い物を窺っていた時、このような事態を誰が想像していたのだろうか。
俺を食らう奴なんか俺の海にはそんなにいるものではない。
底曳き網漁船の気配さえ注意していればグルメな俺は一生食いたいものを食って眠りたい時に眠り,
暑くも無い寒くも無い俺の海で暮らして行くはずだった。
たまには鴎だって喰らうさ。
ところ
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