『 風 車 』/ハァモニィベル
りでに声を出して笑ってしまった。
自分の無名に ではない。猫の名に。
「――猫吉親方」
思わず、ぷっ。
……長靴を履いている。
*
一番上の息子がもらったのは風車(ふうしゃ)小屋だった。
二番目の息子がもらったのは驢馬だった。
末の息子は
猫一匹。
「にいさんたちは、りっぱにくらしていけるのに、ぼくだけは
「この猫を食べてしまえば、手袋を作ってもうなんにもない
「お腹がへって、死ぬだけだ。零だ。」彼は、嘆いた。
*
すると、猫は、(そう、猫吉親方は、)言ったノダ。
「旦那様。そんなに落ち込むことなどありませんよ。
「ただ、どこでも駆け抜けられ
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