半真半偽/ピッピ
君が響いた夜、間違えてどこへとも知れず駆けだして行って、見えなくなって。聞こえなくなって。辺りには月でつくったカンテラがへんてこな影を見繕うばかり。おーい。哀しみとは、こんなもんだっけ?君の喋り方は、まるでテレビカメラを向けられている整った人達のように、理路整然としていて、やばんな言葉がニューロンをかけめぐっている僕はずっとうらやましいと思っていたんだ。マークバイマークジェイコブスのサングラス。よく分からない花のヘアクリップ。谷川俊太郎の詩を諳んじて、げらげら笑った、土曜日の夜。なんでも知っているから、分からないことがあったら聞いてね。って言うから、生理のしくみを訊いたらされた、すごく困った顔。ぶ
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