『 デッサン DESSIN 』/ハァモニィベル
 
下がりの晴れた日の空を恥じるほどにだ。

   *

感触を、無性に感触を、その日は求めていた。
何処かで、鉄を叩く音がする。血が吹き出すまで。

   *

無数の因子が廿五時であることを告げている。

   *

彼の堅く尖った瞬間に触れ、おもわず、私は涙を溢ぼした。その時、
彼は、深く澄み切った笑顔で、私を見つめた。

   *

無数の因子が廿五時であることを何度も何度も告げていた。

   *

それでも、私の手を掴んだまま、彼はわたしの外皮を
私の外皮という外皮をすべて剥ぎ落としつづけた。

   *

剥かれて顕わになった肌― 剥きたての ―つるんとした
わたしの表面を、
今度は容赦なく、彼は、落書きしはじめた。彼の筆が全身を奔しる。

   *

私のからだは、やがて
彼の文字と言葉で、すべて…埋め尽くされていった。









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