風船革命/そらの珊瑚
かつて風船には二種類あった
空気より軽いガス製と
人間の息製と
人間由来の僕らは
空を飛べないはずだった
小さな手ではじかれて
ほんの少し空を飛んだ気分になって
じべたに落ちて
あとはゆるやかにもれて
死んでいくだけ
ぽーん ぽーん
小さな手にやわらかくたたかれ
薬局のおまけでしかなかったこの僕に
うたかた
夢を見させた
坊や 苦いお薬ちゃんと飲めておりこうさんね
きっと次の日曜日までには熱は下がるわ
そしたらパパもいっしょにピクニックにいきましょう
おむすびにぎっていきましょう
桜が咲いているかもしれないわ
あの日のあと
僕
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