夢夜、一 「灰色病と、花輪にうずもれるボルゾイの長い首」/田中修子
れられた。絵本も、本も、クラシックなど手間のかかる音楽も、花を飾るといったことさえ、いまではごく一部の裕福であるか頭がおかしいか、どちらかのものしか興味を持たないのだった。
いま、すべてを支配しているのは、灰色の便利。24時間、こうこうときらめくコンビニエンスストアだが、よく見てごらん。
コンビニエンスストアのきらめきは、本当に光っているかい?
コンビニエンスストアに照らされた場所は、色を抜き取られて灰色になっていく。入っていく人、出ていく人もおんなじだ。
ひとびとは時間をむだにしまいと、はやあしで歩く。ぶつかってもすこしの会釈もせず、チっと舌打ちをして歩いてゆく。
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