冬のうた/
葉leaf
冬の路上を渉猟しながら
過去とはじめましての握手をする
今日初めて自分の過去と出会って
すぐさま慌てて別れたのだ
外気と同質の寒さを体内に抱えているから
私の中に冬は柔らかく広がっていく
この積雪を割って芽生えるものたちに
声ではない完全な祝砲を
もう二度と芽生えないものたちへ
冴えた神経の上澄みを
電車はやかましく冬をつんざき
私の錯綜する思念は
電車の速度を優に超えていく
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