創作童話詩/水菜
 
「おとうさん、わたし、お話かいたの」
きらきらした目をして、澪は、大好きなおとうさんへ、書き溜めたお話の束を両手いっぱいに持ち走り込んできました。

にこりと笑むと、薄い眼鏡の下の目をやわらかく細めた男性が、澪を受け止めると膝の上に乗せ、

「ほう、それは父さん楽しみだな」

とくつくつと笑いました。

「では、これからね!」

澪は、一つ目のお話をいそいそと広げました。


       *****

『梳いた』

蜜色の路地を抜けると、一つ目の鬼が一枚の大きな岩の上に座り込んでいた
よく見ると瞼を閉じてしまっている
彼は瞑想をしているのだ
鬼は、虹色を
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