風花のことづて/
そらの珊瑚
あの頃
きみはまだ産まれていなかった
着床しない
小さな種だった
人はなぜ産まれてくるんだろう
人はなぜ産むんだろう
いつか手ばなす命であるのに
わたしが
影も形もない頃
少女だった母のまなざしの中に住んでいた
だから
この儚い雪たちを見たことがある
ハロー風花
優しさが曇らせた窓硝子を
指で撫でれば
涙を流して
凍えた箱庭を透過してくれる
なぜおまえは
積もらぬことを知っていて
天から身投げしてくるのかい
戻る
編
削
Point
(21)