借りてきたテコ / ある女の子篇/末下りょう
 
るからどうしよもなくチビになる
あのひとそう言った


折れそうなテコはでも折れない
きゅうに飛び出して
後ろ足で耳をかく猫が濡れしぼんで
まなこ潤ましてる
気弱な友だちに借りたボタンをくちのなかで転がして
よだれがたまる
指がじんじんする

アルミの鍋をかぶって
ボロを着て
なにを拾ってどこにしまったかそのつど忘れるのもと思ったら
ふいに胸が熱くなる

だからやっぱり踏み出すことにする
一歩前にじゃなく
一歩横に

そしたら分厚い雨雲のすぐ横に
空の青がすりばち状に透き通ってくる
そうこうゆう断層でわたし雨に降られてダンスしたかった

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