濁り/水菜
 
滝の強さに身を任せて女はただただ足元を見つめていた
弾けた水が泡状になってばらばらに散っていく
薄く付いた緑色の苔と少し濁った水面
女の肌色だけがゆらゆらと水面の底揺れていた
不意にふるりと寒気を感じて、女ははっと我に返る
失っていた感覚が再び戻ってきた
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒いさむいさむいさむいさむいさむいさむい
寒さしか感じなくなる
女はそうしてようやく滝の外へと身体を出した
白い肌はぼんやり青白く光っているようで濡れた髪からは冷たい雫がぽたりぽたりと滴っている
用意していた白いバスタオルに身を包むとほうっと女は息を吐いた
濁った色の水の底をぼんやり思い描きながら
戻る   Point(2)