混沌を解いたところで簡単な現象にはならない/ホロウ・シカエルボク
 
なそんな印象を持ったものだった、それがどうしてそうなのかなんて説明は出来ないよ―俺の居た部屋にはとても大きく、開かず、割れない窓があったけれど、そのすぐそばに覗いている鮮やかな緑色の木の葉は、どんな薄暗い雨の日でもまるで太陽を浴びているみたいに輝いていたものさ―なぁ、今日俺の住んでいる街では雪が降った、積もるような雪でもなかったけれど…よく判らないけれど、その時思い出したのさ、あの時のこめかみの疼きや、あの時見た夢のずっしりとした質感、あの時停止したいくつかの俺…雪は目を凝らさないと気づけないくらい小さな粒で降っていた、俺は落ちてくるそいつらをぼんやりと眺めながら、散弾銃をぶっ放す夢を見ていた。

戻る   Point(5)