朝のオフィス/葉leaf
 


人の少ない朝のオフィスでは
電子機器たちが夜を黙想している
バインダーは窓ガラスに這い
闇を光へと代謝している
夜と朝の両方と手を携えて
迫ってくる名もない者たちのために
僕は一本の缶コーヒーを飲む
聖なるものたちが彼岸を超越し
俗なるものたちが此岸から落下した
伝える言葉に脈動はなく
湛える表情に流路はない
朝のオフィスの蛍光灯の下で
死人をよみがえらせる仕事をしている

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