琵琶の音色/水菜
それは、不思議な音色だ
【祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ】
不思議な音色のなかに連れて行かれる
声は、波のようで、達観しているようにもみえる
変化しないものなどどこにもなく、
一瞬の儚さのなかに
永遠が在る
それは、在るというには、足りないひどく足りない
目には見えない微かな塵のようなものに過ぎないのかも知れないが
変化しないものなどどこにもなく、
それは、人の精神も同じことだ
そして、人の行いも同じことだ
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