ねじ式/天野茂典
てのひらの上の海峡舞ってゆく蝶よ朝鮮半島もっとも暗し
死ににゆく赤い海峡渦巻いて『未来』という地図霧に裂かれよ
消防車街走りゆくはるかなる銀杏並木の病葉の赤
この沈黙(しじま)月には満ちる長靴を履いてゆこうか
雨ふらぬよう
いまも赤『詩的私的ジャック』ホームベースの裏の密室
ゆっくりと銀河は回る古本の一冊ぐらいじゃ読み切れないぞ
『暁:少女』満月でもなく血液はとぶとんぼのように
未確認飛行物体鉄板のようなでかさでコンビニを飛ぶ
<Eau+>非行少年屯(たむろ)して月下の一群タバコをふかす
午前3時のサスペンス少女は化粧してマゼラン海峡めざす
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