千年の海/田中修子
 
く引っ張って立ち上がらせました。そのまま、扉をあけて外の世界に私を押し出そうとしました。強い恐怖を感じました。うまれてはじめて、悲鳴をあげました。甲高い、自分のものではないような声でした。
「出て行って!」
恐怖とも怒りともつかない真っ赤に焼けた塊が喉の奥で転がりまわっています。すごい勢いで腕を振り解き、走って逃げました。彼は扉のそばで固まったまま、動きませんでした。
「帰ってよ、そうしてそのままもう来ないでちょうだい、どうして来たのよ、もういらないのに! 外の世界なんか、私はもういらない!」
(……外の世界に必要とされていないのは、本当は私ね)
私は扉を指しました。彼は一瞬迷ってから、
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