千年の海/田中修子
 
、飲まず食わずのこの体が、しっかりと生きていることを知る。
 夜には凍えてガチガチ歯を鳴らしながら、ものすごい色彩の満天の星を眺める。銀に金、藍に朱、全ての色を星は持っていたのです。
 そうしてまた、砂丘の様相が大きく変わる朝が来る。
 
 あまりの昼の熱さ、夜の寒さ。
 風景に圧倒され、何も考えず、何も言わない。ただ、見つめるだけ。それでも空や砂は私を見つめ返してくれる。時に痛みを感じさせられながら。
 そのような静かな包み込まれ方に、私は充足していたのです。人のいない、やさしさ。

 私は本当は人が嫌いだったのかもしれません。それなのに、それだから、外の世界では優しい彼を松葉づ
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