そよぎ しめす/木立 悟
 





爪だけを照らす
蒼い光
ひとつの指に
拡がる荒れ野


星の数だけ
痛みは冷える
砕けた冠
轟きは増す


二つの視線で
つまむ宇宙
それぞれの目の
終わりとはじまり


ひとつの指に
うたを抄い
荒れ地が荒れ野に植えてゆく
音の飛沫 音の飛沫


痛みは消え
苦しさがあり
他の苦しさにまぎれ
小さく花を差し出している


野を分ける川
堕ちた竜の中洲
ゆうるりと流れは澱み
すぎるものの背に光を生やす


径は双つ
雷雲は立ち
音は遅く
指を伝う


霧と木から降る叫びのかたち
径の終わりの石碑にそそぎ
午後の雨 やがて夜の雨
ひとつの指を羽に変える
























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