怒るとき/狩心
 
つが歌を歌っている間だけ私達ホームレスは安息の時間を得る

そいつの歌が途絶えると天候は悪くなるし精神的な食料も底をつく
広い海で他の船と遭遇できない時は
牢屋の中の海賊共を一人また一人と介抱し、蜃気楼の仮想現実の船に向かってターザンさせる。
たまに飛距離が更新されるので、それはしっかりと記録しておく
記録用紙役のそいつの肉体が記録で埋め尽くされてもう記入できなくなったら
やっぱりそいつもマストの一番上に縛り付けて悲しい歌を歌わせる
そいつが歌を歌っている間だけ私達ホームレスは戦いの時間を得る

私の気まぐれで私が下船し無人島に降りてしまうと
その船の全ては一つの生命体としての幽霊船となり途方も無い大海へと信仰し
私が瞬きをした一瞬の瞬間に消え、あーああーという声が響き
サイレンが鳴り止まない無人島生活 365日間が始まる
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