凧、3時/はるな
3時になったら起こしてねと言って寝室へきみは行った、それからだいたい三年が経ったように思う。
元旦、朝は曇っていたが東の方から掃くように雲は流れ、正午には空は真っ青な顔をして、気の早い蝋梅がかじかんでいる。窓を拭き、床を磨き、湯を沸かしたらもうすることがなく、真っ青のなかに顔をつけて息をわすれる。体の重いような軽くなるような、冷水につけた指先のかえって熱く火照るいのちを見つけてはかさかさにかわいた顔を引き上げる。
きみの声を思う、どこからでも電話をしてきて、なぜあなたがここにいないかわからない、と笑う声を。僕もわからないよといつでも答えたしそれは本心だったがいつもほっとしていた。そこに
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