不在/葉leaf
 


大樹が葉を落とした夜に
大地は不在だった
葉は一斉に宇宙の広がりの彼方へ
解き放たれていった
神が啓示を下した朝に
人間は不在だった
鉱物たちは啓示に共鳴し
正しい解釈で構造を置き換えた
季節が新しく巡った昼に
風景は不在だった
季節は空間を染め変えて
空間は新しい音を生み出した
言葉はいつでも不在で
その不在から削り出された
余剰でしか詩は書かれない
詩はいつでも不在で
無から新しく組み立てられた
詩でないものしか
人は書くことができない

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