星星/
本田憲嵩
過ぎていった季節を常夜灯のように思う
わたしは揺り椅子の二つの脚に停留の錨を下ろし
アンテナの代わりに
机のうえの海に花瓶と丈高い花を置いて
自分のなかの未知なる惑星を探りだす
(わたしは丈高い花がやがて丈高い女になることをはげしく夢見ている)
暦が痩せほそってゆくような
孤独という肌ざむさが
自分とぴったりと重なりながら椅子に座って
白いままの紙の上でその白い手を悴ませている
とおく
漁船のエンジン音が
氷づけになった星星を振動させている
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