ノート(彷鳥街)/木立 悟
 




透明な板に仕切られた街で
鳥は哺乳類を呑んでいる
人は 恐れて近づかない


板と板のはざまを
皆 目をそらして通りすぎ
空を忘れた鳥が見つめる


径の終わりでまた一羽
兎が呑みこまれようとしている
空は 灰からむらさきへと変わる


燈も炎も すぐに消される
人を燃やしてもいいが
鳥を燃やしてはいけないから


骨の鳥 骨になりかけた鳥たちが
土の下 海のむこうからやってきて
透明とむらさきのはざまに満ちる





















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