泡の、あとさき/望月 ゆき
 
あしもとから 垂直にたちのぼる
無数の、泡
音もなく こわれてゆくもの

スピード、ゆくえ、

( とめるてだては、ないわ )

からだをかたむけても
もう おいつかない
はじける、
はじける、

コップのふち
今にもあふれそうな
時間(とき)の水面で
わたしたちは いつも
コントロールされながら
右へ、左へ、
呼吸をくりかえす
ばかり

音もなく
見失いがちで、それは
つかんだとおもうと
てのひらをひらいた
つぎの瞬間にさえ
あとかたも、ない



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