夜鉱街/木立 悟
光の柱に指を寄せ
確かめながら触れてゆく
光でも水でもあるかたちまで
幾度も幾度も確かめながら
芯には幼いものたちが居て
はじまりを忘れてははじまってゆく
水と光の向こうには
城と壁が歪んで揺れる
夜を渡る音
雨から雪
硝子の径
空を鳴らす鉄の樹々
囲まれながら
閉ざされながら
青空の影を引き摺りながら
無数の入口のなかに出口を欲めながら
道端の
今にも倒れそうな石の祠を
子を抱いた子がすぎてゆく
前髪の雪もはらわずに
ひとつから開く細い網が
青から蒼へ空に貼り付き
帰る場所の無い音を聴いている
冠水をゆく影を聴いている
指で指に冬を描き
冬も指も消えてゆく
城より高い地に拡がる街へ
開門の時が訪れる日に
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