マジックミラー/少年(しょーや)
 
って教えてあげたかった。
でも、その女性だって俺の内側を知らない。
下手すると怖がってその場から立ち去ってしまうかもしれない。
だから俺は、欲しかった「かけがけのないマグマ」をレジまで運ばずに静かにお店を出た。

邪魔しちゃいけない。

あの女性が欲しがっているのはTOKYO BLACK HOLEにマジックミラーが収録されているって事実ではなく、大森靖子という人物が確かに自分の追い求めるものであるという確信だから。
これ以上、あの人に歩み寄るのは、やめよう。
いつかあの人の真っ直ぐで少しだけほろ苦い愛情が、大森靖子さんのところまで届きますように。

あたしのゆめは
君が蹴散らしたブサイクでボロボロなLIFEを
掻き集めて大きな鏡をつくること

(大森靖子「マジックミラー」をモチーフにして。※一部歌詞引用)

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