マジックミラー/少年(しょーや)
いない。
イヤホンマイクらしきものもつけていない。
隣近所に友達らしき人も見当たらない。
むしろ周囲には女性と俺の2人だけしか姿が見えない。
その女性は「かけがえのないマグマ」を左手に取り、巻末の著者プロフィールの文章を右手でなぞりながら仰け反ったり揺れたりしていた。
近くの商品を見るフリをして、そっと、そーっと、女性に近づいた。
「ファーストアルバム「魔法が使えないなら死にたい」……って、え?!死にたい?どうしたの?何かあったの?いやでも分かるかもその気持ち。あーでもなー。怖いしなぁ。なかなか出来ることじゃないよなー。ってか、そうじゃなくてアルバムタイトルはいいからどのCDにマ
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