最後の発明その発光・わたしはかなしかった/初谷むい
した瞬間ボールは発光、その光に当たったわたしの白い靴下が一瞬で桃色に染色され、忘れものに気づいて戻ってきた彼のおびえるような瞳を見たその瞬間わたしは恋に落ちた。そしてそれはたぶん、ヒロサキユウゴも同様で、その日からわたしは彼の唯一の助手となり、彼のすばらしい発明を見つめる瞳は四つに増えたのだった。
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ヒロサキユウゴの部屋は狭く、しかし片付いていて、石油ストーブの熱でほどよく暖かかった。
「鍋のなかみ、」
ヒロサキユウゴと再会してからこうしてお互いをしっかりと見る機会はまだ二回目だった。中学校の頃はどちらかといえば華奢で小さな印象だった彼の、色白だけがそ
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