戻りたい/noman
分厚い窓に凭れて
曲がりくねった轍に視線を
沿わせていた
共有できるものは多くは
ないがそのほとんど
は朝までに
ゆるやかに
溶けてしまうだろう
彼らが小さな声で話して
いたことは
いつのまにか別の匂いに変わって
いた
小石を拾う程度の注意
深さで
果実のことを忘れる
日陰なら道の途中に
用意されている
知らなければならないことがあると
しても歌は
ばら撒かれた音階を無造作に拾い集めながらつづく
嘘が暴かれる夜なら
たぶんギタリストも
歌い手も
ひどい風邪をひいていたのだろう
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