モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
ライク。最高の組み合わせ。それに少しの赤いワイン。加湿器はすーすーいっています。僕はベッドの上でキーボードを叩き、かなり大きな音量でRadioheadをかけている。部屋には薄い霊気のように煙草の煙が立ちこめている。クスリを喉にすいっと放り込む。
一日八時間、ギターの練習しようかな、なんて思ったり。不毛さというものに、私は取り憑かれている。朝がきました。夜明けの薄明かりの中では、街全体が柔らかく、しんとして、美しいですね。こんな朝に道路上で射殺されるのは美しいでしょうね。白い拡がりに、赤い鮮血が静かに滲んでいって。とても嫌な気分です。身体を横たえるのが苦痛。ただ、空気が希薄に感じます。それでも身体は睡眠を欲しているようです。鬱を抱えたまま眠りに就きます。悪夢を幾つも見そうな予感がします。ただ、静かな心でいることがこんなに難しいなんてね。さあ、眠ろう。静かに、ゆっくりと。
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