モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 

次、何か、次にまた、何か。何か、何か、しなければならないような、急いで鏡を直視しなければならないような、それからまたすぐに目を反らさなければならなくて、自分は多分睡いような顔をしていて、でも頭の中は完璧に目覚めていてパニックで、いい詩を、いやもっと広汎にいい言葉を、いい音楽をものさなければ、ならないような、頭の範囲に常識が納まり切らなくて、何も出来なくて(何も出来ない!何も出来ない!)ただせき立てられているような、書けない書けない、書けないよ、だが書いてどうする? 素晴らしいと誉められたい?(自分はただ背骨が痛いです、ふぅ、こんなもんさ、って煙草が吸いたいです)煙草が吸いたいです、ただ、それで
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