モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
いるので、僕は彼の胃とポケットの中身が循環するしくみになっているのではないかと思った。
「僕が言っているのは、じょ…、つまり上下記号、じゃないや、上下、関係、を無くしたい、とか、そういうことなんだ」
「上下関係?」
「そうさ」と彼は指を上げて、「批評を止揚、しよう、じゃないや、批判をやめてしまって、みんな、例えば、息を吐けたら、楽しいだろう?」
と言って、彼はびくっと首を震わせて、木馬から飛び降りた。
「君はさ」と言って、テーブルに置いてあった飲みかけのヴォルヴィックのボトルを取って、口に押しつけるようにして、二、三口、喘ぐようにしてマシマロを飲み下し、
「君は、僕と木馬との間に、じ
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