モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
「はぁ? だから何が?」
「もういい。お前のやってることは社会では通用しないってこと。電話代さえ無駄だわ、じゃ」
「ていうか、俺がかけたんだけど」
「どうせ親のお金でしょう? じゃあひとりでオナニー続けてくださいー」(ぷつっ)
「……」

13
……「社会なんてくだらないよ。消えてしまえ」
 達阿木くんは木馬にまたがってゆらゆら揺れながらそう言った。僕は社会が消えるってことは、ここで僕が達阿木くんを殺すことだろうか、それとも手をつないで家を飛び出して、どこか知らない山の奥の未踏の地にでも行って、自然生活を営むことだろうか、ハチミツ取りとかするんだろうか、きっと僕は肌が弱いので(この
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