モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
世界。記号の海の中をどこまでも遊泳していけばいい。それが、もっと洗煉化されたシステムによって誰にでも開放されるなら、そう、宇宙的な感覚がそのままに共有されるようになったら、僕たちの、進化の第一段階は、多分、クリアしたと言っていいんだと思う。ひとりひとりが完全に一細胞としての動きに準ずるなら、地球一つを大きな一人格として見なすことも出来る、なんて、誰かが言ってたなって、自分の考えではないのですけど。そういうのって面白いと思う。隣にいる人とも、ほんの少しも、痛みも、悲しみも、味も、ギターの良さも、全然伝わらなくて、でも、それを伝えようとあがく、その苦しみが、人間の人間らしさなのかもしれなくて、でも、伝
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