モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
園のようだった。
目をこすると。
天国のようにも公園のようにも見えたの。
地獄をみた。
そこではひとたちがはなしをしていて、
わたしは耳を塞ぐために、
あー、と言った。
そこは寝覚めのわるい宇宙のようで。
でもきれいだったの。
とても、とても。
きれいだったの。
消えると思ったの。
きれいだと思ったの。
ほんとうに、
きれいだと思ったの。
かけねなしにね。
それを忘れちゃうなら、
あたしはあたしはみんななみだになって、
きえちゃえ、
と思ったの」
私には死ぬ権利がある。
だけど死なない。
ギターを弾くから
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