モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 
橋として、すでに条件化されている。気持ちいいから書く。自傷と同じだ。実際今は、左手にギター用に伸ばした右手の爪を立てながら書いている。酸素濃度が低い。私は密室が好きなんだ。こうやって文章、自分がまさに書いている文章にまみれてときを過ごすことは、私を自己完結的で、矛盾のない柔らかな世界に閉じこめてくれる。私は、病的に几帳面だ。それは認める。完璧主義者だ。だけど、完璧など無理で、無理なのだから、それなら、最初から何もしたくない、という、程度の低い完璧主義者だ。完璧な私があるとしても、それは他になんらの優位性を示さない。ただ単純に私が私であることを有意な方法で示すことが出来るというだけだ。エゴが殻の狭い
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