モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
い。君が間違っていたから、オウムもまた、変貌せざるを得なかったんだ。一体、気の狂った人間に、どんな正統的な論理が通じるというだろう」
「それでもなお」と彼は言う。「幸せを強要するのは間違ったことだ。あなたが不幸であるのは全く間違いないことだ。あなた自身がそういうんだから、間違いないね?」
なんだか全ての人間が僕を避けているみたいだ。実際にそうなんだから、僕は混乱している。明日、明後日?明明後日ぐらいのことになると、もう全然分からないや。
「君もしかして怒ってる」
「違う。ただ、いて欲しくないだけ」
「でも君を助けられるのはもしかすると僕だけだ」
「そのときは死ぬの」
「僕はた
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