陽気な二人/ただのみきや
摩耗するほど触れながら
わたしの中のあなたもあなたの中のわたしも人形だった
かつて誰かが書いたことを書いている
補い合うようにバランスを取りながら
転び続けるそのために起き上がるのだろう
始めから寝転んでいた最後にも寝転ぶのだから
美しすぎるものを見るとわたしたちは死にたくなった
止まった時の中へ互いを埋葬し意識を塵にして
茫漠とした空白へ還るかのように
愛は幻想の広大な森に住まうひとひらの現実――生きた蝶
飛び去って世界は灰に世界は人の数だけある幻想だから
何度でも巻き戻されてクリスマスのように捏造されて
流行歌を囁きながら日陰と日向を往来する
集団は人でないほど薄められて崩落する甘く苦い砂粒
通り魔に魂ごと持って往かれるのを待って
気の抜けた液体の透明な静けさにあなたの
展開図を見ていた 咳込みながら神の言葉で舌を焼き
酷く陽気な二人だったと書かれない詩の中へ漕ぎ出して
《陽気な二人:2016年12月21日》
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