陽気な二人/ただのみきや
風が歌わない日にわたしたちは何を聴こうか
再生し続けることで乾く色彩の体温
その沈黙まで指先で縋るように諦めながら
待っているどちらでもないひとつの結末を
インプットしてきたものが違うから
アウトプットするものも違う
わかりやすい言葉ほど要注意だ
疑う途端に爪先から沈んで往く厚みのない鏡の床
欺きとお人好しのタンゴ
あなたが憂いと苦痛を料理する間ひとり踊っていた
食卓には小さな花が咲くこともあり
わたしたちは目玉をでんぐり返し鮫のように歓喜した
至福は狂気互いを前にして真白い内側に溺れて往く
ペンキ缶の中へ落ちた蠅が一色の夢に飲まれるように
摩耗
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