懐かしい時代/吉岡ペペロ
 
口笛のような

オカリナのような

電子音楽のような

みらいのような

懐かしい時代のような


内なる世界へ

校長がこの文化祭に掲げたスローガンだった

先輩とふたり武道場で

文化祭のメイン看板を製作していた

内なる世界へ

それを白地に文字だけ黒で描いた

つまらない

先輩がため息をついて寮に帰ってしまった

白地に黒を塗って引っ掻いたらどうだろう

そんなことを考えながら看板を見つめていたら

先輩がエロ本を数冊持って戻ってきた

女の肌が載っているページを細かくちぎって

黒字のうえに貼りつけていった

内なる世界へというモザイクだ


口笛のような

オカリナのような

電子音楽のような

みらいのような

懐かしい時代のような








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