耳を澄ます (試作品2)/もっぷ
く
満たされながら たどり着いたと
そのしあわせにはたどり着けずにこの
寒さ ひもじさ
さびしさ みじめさ
まして 身の、自由の、危機SOS
傍らにはよごれたぬいぐるみ 不意に
かなしい それ のわたしは悟る
かなしさは 存在する限りに避けがたく
森羅万象はだからみな詩としてしか在りようもないのだ と
夜道に転がっている忘れ去られたちいさな釘一本にしても
歌っているから 道化師の唄を
すくなくともわたしにとってしあわせとはうたかたのポエジーだった
まぼろしの、かなしみのこんがりトースト、産声(うたごえ)の その涯
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