一度食べかけて、また吐く/由比良 倖
 
いうの。ひつじさんは、血が出たとき、それをただ眺めていたり、拡げたりしますか?」
「?」

 扉の父は、「外見じゃないよ」なんて言ってた当たり前の十二歳であった扉少年に
「外見に動かされない人間とは付き合ってはいけない」
と言って、外見を磨くことを促した。

 僕はあの頃ことあるごとに父を殴ってればよかった、だって十四歳になるまでは逮捕されないもの、そうしてれば、少なくとも僕は外見じゃない中身なんていうものをある程度信じ込んでいた少年であった人間になることが出来たのに。
 僕は間抜けにもこう言ってしまった。
 でも、僕は、あんまり見た目良くないよ。
 父は、僕の方をろくに見もせ
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