万物と葱/
草野春心
硝子玉の内側で万物が絶え間なく波打っている
罅(ひび)割れた海原や燻んだ山脈や水色に澄んだ植物群などが
混じり合い・透明に濁った一つの音声に結んで震えている
それをわたしたちは見る/それをわたしたちは見ない
いずれにせよこの時のうえにボーッと突っ立って
雪原にしなる一本の葱のように悲しむのみだ
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